こんにちは!製薬企業研究職のtabeです!
当ブログでは、複数の企業から内々定を獲得した様々な経験を共有しております。
さて、当記事では、研究職を志望する上で最も大切な書類である「研究概要」について解説しています。
製薬企業では多くがA4 2枚の研究概要の提出を求めてくる傾向があります!(基本となる解説は以下の記事で先にご確認ください。)
今までにもいくつか対策記事を書いてきましたが、
今回は「現役就活生20人の研究概要を拝見し、特によくあった改善点!」を中心にお届けします。
具体的には、「研究概要を書く時のマインド」
「採用担当者を意識した様々な工夫」というお話です!!
気にすべき点は多々ありますが、多くの方が陥っていたポイントにフォーカスしたため、
より効率的に、方向性を見失わずに書類を磨き上げることが出来ると思います!
ぜひご自身の研究概要がある方は隣におきながら読んで頂ければと思います!
もちろん、まだ書いていないよーという方はこれから書く時の参考にしてください。
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こちらの記事はアカリクアドベントカレンダーイベントにて紹介いただきました!
それでは、早速始めましょう〜!!
自分自身をアピールする意識を!入社後の活躍を伝える
まず、今までの研究書類には全く存在しなかった意識を就活では持っていただく必要があります。
他の記事でも書いていますが、この研究概要の目的は「研究のアピール」ではなく
「研究者としてのポテンシャルをアピール」することです。
その意識をまずはしっかりと持ってください。書類の通過率upにとって最も大切なポイントです!
採用担当者(主に研究職と役員)は「一緒に働いた時に活躍しそうか」を書類から読み取ろうと必死です。
そのために大切なことは、全体的に読み手を意識した文章になっており(この点は後述します)、かつ
「お、こんな考え方ができるのか。こんな仮説も置けるのか!
この子はきっと入社いただいてからも面白いだろうな!」
と思わせる文章を鏤めることです。
ここで勘違いしていただきたくないことは、
あからさまな文(○○の強みがあるので活躍できます!)を積極的に入れて、ということではありません。
その観点のアピールはエントリーシートの他の場所でいくらでも書けますし、
研究概要のメインはあくまで研究の説明(背景・仮説・結果・考察)です。
ただ説明の中に、自分オリジナルの仮説や発想・研究展開の一手を選んだ理由を時折スパイスのように盛り込んで欲しいのです。
この記載がまさに、「あなただからこの研究が出来た!」の理由となり、採用担当者が最も気にする「入社後も活躍してくれそうな人材なのか?」の答えに直結します。
ご自身の研究概要を見直すとき、あるいはこれから書くときに、まず最初に意識してみてください。
(そして書類だけでなく、研究面接でもこの点は意識して発表してくださいね。)
魅力的なイントロダクション、ゴール地点との距離感も意識!
さて、ここからは「読み手のことを意識した文章」を色んな側面から解説していきます。
読み手のことを意識する、その意味を一言で表現すると
「研究概要全体で一つの物語、ストーリーを構築して、わかりやすく届けてあげよう!」
という意識です。ここ、すごく大切です。
そしてこのために欠かせないのが、広く魅力的、かつゴール地点を意識したイントロダクションです!
実は研究概要という書類は、読み進めるに連れて細かい話になっていきます。
そのため、最初から細かい話に突入するのではなく、研究の全体地図を示すイメージで書くのがオススメです。
「広い話➔細かい話」の流れを実現するためにも、各論や詳細な記載は最初の文章は避けましょう。
なるほど、このタンパク質の機能を理解することによって、
○○の分野にとって△△というブレイクスルーがあるのか!
面白そうだな!この研究はきっと意味があるな!
そう思ってもらえればイントロの役割「広く魅力的」は十分に果たせています。
例えば例文で示すとこんな感じでしょうか。
神経発生におけるイベントAはXXにとってすごく大切な研究領域なんです。
→しかし、YYという理由から、タンパク質A’の機能の理解が不十分であり、
この機能解明はイベントAを理解し、ZZ達成のために極めて重要です。
→そこで私は新たに〜仮設を設定し、…
上述の一つ目の文章を省略して「イベントAを担うタンパク質A’の機能解明を行いました。」などの内容からスタートしないよう心がけていただくと良いと思います。
この1−2つ目の文章がないと、研究の重要性を示すことが難しくなってしまいます。
研究概要を読むのは主には研究職の方々ですが、
人事の方や役員の方々(つまり元々の職種がバラバラ)も読まれますので、
その観点からも少し難易度を下げた文章から入りましょう。(学部生くらいを対象と考えてください!)
それともう一つ、大切なことがあります。
ここで提示した研究の意義と最終的に得られた研究結果との間に繋がりを持たせてください。
今後の展望などで、繋がりについて議論できると良いと思います。
以下に、研究概要の後半で出てくるべき着地点の例文を示します。
以上の結果から、□□という結論が得られました。
冒頭で述べました通り、本研究成果は実際にZZに繋がる成果と考えられ(イントロで説明したやつ!)、
さらに以下2つの検証を今後行うことによって実現可能性が提示できると考えています。まず1つ目は…
このように後半で着地できれば、起承転結の「起」と「結」がしっかりと繋がり、
ストーリー性の高い資料に仕上がると思います!
研究概要は一つのストーリー・コンセプトを伝えるものです。
ゴールのポイントで、スタート地点で示したコンセプトにしっかりと戻ってきましょう。
字数を減らす!本論と関係のない記載はとにかく省く!
「字数が多いほど情報もたくさん掲載できて、読み手にわかりやすい!」なんてことはありません。
むしろ、読み手のことを配慮できていない文章であり、非常にもったいない印象です。
論理性・ストーリー性において重要な文章(背景・仮説・モデルの説明・結果・考察)はもちろん残しますが、
「この記載って今回蛇足だよな」「この表現・説明は重複しているな」などの箇所はできるだけ省きましょう。
そのためにも、まずは改めて、ご自身の研究概要で伝えたいロジック(背景→仮説→結果→考察)の軸を明確にしましょう。
箇条書きで良いので、しっかりと書き出してみてください。
そしてこの軸を中心として、なんとなくあったほうが良いかなーレベルの文章はガシガシ省いてください。
字数が減ることにより、伝えたい箇所が浮かび上がります。きっと明瞭・簡潔な資料になると思います。
丁寧にロジックの一つ一つを確認しよう!
「広くイントロを始める」を意識できている方に一方で多かった点が、ロジックの繋がりが不十分な文章です。
文字数を減らすという過程でも、ロジックの崩壊だけは避けてください。
例えば以下のような研究概要が今回ありました。
パーキンソン病(PD)は未だにアンメットニーズの高い疾患である。
PDにおいて神経細胞内のタンパク質Aの発現が向上していることが明らかとなっているが、その機能の理解は未だに不十分である。
そこでタンパク質Aの機能解明は新たな治療薬の創出につながると考え、研究を行った。
さて、おかしな点が例文内に2点は少なくとも存在します。
まず1つ目、PDで発現変動している遺伝子なんて数多あるはずです。
そのため上述だけでは、タンパク質Aに興味を絞った理由の説明が不十分です。
また仮にそこをOKとしても、
後半の「治療薬創出」につなげることはかなり無理があります。これが2点目です。
Aに絞った理由を追記するとともに「病態の理解に繋がることを期待し」くらいの記載に留めるべきです。
このような誇張表現も多くの研究概要で見られました。どうか気をつけてください。
結果の説明文の中でも、そこまではこの結果では示せてはいないので、
ここは「示唆された」にとどめたほうが良い。
という文章はかなり多く見られました。
今回の研究概要の目的は研究を大きく見せることではなく、
「正しく研究ロジック・ストーリーを構築できること」を相手に伝えることです。
無理に大きな話にする必要は全くないです。むしろ大きなマイナスポイントになってしまいます。
結果やモデルの説明はちゃんとしましょう!
え、当たり前じゃん! と思われるかもしれません。
ただ実際にこれが十分(適度)の方は意外にも少ないと私は資料を拝見して感じております。
多いのは、結果や結論だけを文章で伝え、後はfigを見てね、というタイプの研究概要です。
これは採用担当者に対し、少し不親切と思います。
一番魅せたい点(=自分)をこれでは十分にアピールすることが難しいです。
結論だけを述べても、きっと相手は
「本当にこの実験プランでその結論に至って良いの?」
「どんな実験を組んだの??」
と考えます。これではあなたの研究者としての良さを採用担当者は判断することができません。
実験の組み立てや解釈が適切にできることを主張するためにも、
最低限の説明は行いましょう。(バランスが難しいですが、過剰なのもだめですよ!)
「仮説→モデル・実験の説明→結果→解釈と次へのアクション」
この一連の流れをシンプルに伝えつつ、自身の思考過程をアピールすること。
これが研究概要の根幹と言っても過言ではありません。
「自身のアピール」という意識があれば、この重要性がご理解いただけると思います。
図はそれで良いのか? 素人でもわかるデザインにしよう
図についても、読み手のことを考えて改善を検討してみましょう。
学術論文などではあり得ない、以下のような工夫もOKです。むしろ推奨します。
少なくとも、この3点については必ず再考・見直しをしてみてください。
縦横軸は日本語にする
なんのこっちゃ分からない縦軸や横軸になっていませんか。
読み手に瞬時にfigを理解していただけるような工夫として、軸の記載を改善することは極めて有用です。
見て欲しい場所を矢印で示すくらいの工夫はOK
○○に局在していることが分かった。と文章で記載していても、
図のどこを見ればその結論に至ることができるのか、専門家しか分からない構成になっていませんか。
棒グラフのどことどこを見比べたら良いのか、ちゃんと提示できていますか?
矢印で示すくらいの工夫はもちろんOKですので、この辺りも再考してみてください。
小さくて読めない!!にも要注意
この状態の人が結構多い印象です。
図は今までの資料のものを転用するのではなく、しっかり就活用にmodifyして使用しましょう!
印刷したときにちゃんと見えるレベルなのか確認しましょう!
研究に取り組んだ理由が「不明であったため」は要注意
最後に少し細かいですが、多く見られた改善点です。
研究を行った理由として「分かっていないから」行った、という記載がありました。
実際には、きっと皆さんの研究には、もっと壮大な魅力が詰まっているはずです!
さらに、分かっていない=重要な研究、とは限らない点に注意が必要です。
分かっていないから、ではなくて、
その研究が達成された時の真のインパクトを理由におくべきだと思います。
創薬研究においては、「この研究は「分かっていないからやる」のではなく、課題解決の先に患者さんがいらっしゃるからやる意義があります」との提案が常に求められます。
そのような研究の提案や、研究の捉え方が可能であることをぜひアピールしてみてください。
まとめ
研究概要を書く上でのマインド、そして読み手(採用担当者)を意識した文章の具体的な改善案、
実際に研究概要を見ていく中で多くの方がハマりがちな落とし穴を中心に解説しました!
一つでも参考になるものがあれば、本記事を書いたメリットがあったかなと思います。
研究概要だけではなく、当ブログでは様々な視点で研究職の就職活動を解説していますので、
以下のハブ記事からあちこち見ていってくださいねー!!
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