製薬企業で数年間仕事をして思うこと

製薬業界の解説
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こんにちは!PhD取得後は製薬企業で研究をしておりますtabeと申します。

入社して数年間という歳月が過ぎ、そろそろ次のステップに向けて
今までの仕事を振り返ろう、という日々を過ごしております。転職ではないです。笑
せっかくなのでその内容(これまでの仕事)について書きたいなーと思って、
ツラツラと書いてみた記事です。

個人の特定を避けるために、特にストーリー性もなく、大きな目的意識もなく、
自分自身の整理も兼ねてメモのように書いていることなどご容赦ください。

そんな記事ですが、前回の以下の記事に引き続き、
製薬企業で働くことのイメージを学生の皆さんに持っていただいたり、
社会人の方々との意見交換のきっかけになれば嬉しいです。

色んな専門性を持つ仲間と創る仕事は、やっぱり面白い!

私が仕事の中でも特に楽しさを感じているのは、
自分が知らない世界、を知っている人たちと新たな可能性について議論して、
実際に実験をして、自分達の仮説(妄想)を検証していく時間。


これはいつまで経ってもたまらんですね…笑(どうやら私は学習欲・知識欲の塊みたい)
会社でもこの興奮を味わえるかは半信半疑だったので、本当に恵まれました。

おそらく入社後は多くの方が「議論する相手の専門性の幅が広いな」と感じる環境だと思います。
学会に行かなくても、色んな専門性の方から研究に対して意見をもらうことができます。
そしてだからこそ、大学院では一つで良いので日本一・世界一の何かを身につけたい。
自分の世界一ってなんだろう。

「この角度から考えてみたらどうだろう?」「じゃあ検証に必要な化合物はこっちで合成しておきますね」「いやでも最近こっちの分野でこんな論文が出ているから違うのでは?」「ちょっと余った血液もらってもいい?」ラフでゆるゆるとした議論の時間が素敵です!

一方、ラボと同じで、みんながみんな熱心なわけでも正直無いです。むしろそんな人はすごく珍しい。
もっと何かやろうよ!って思うのですが、これはもはや致し方なし…涙

そんな中でも目が輝いている研究者の方々と知り合いになり、別の業務の合間を縫って議論する。
この時間が私の働き甲斐で、成長にも繋がっています。
普段読まない論文や知見、評価系に触れ、自分の手と発想の両方の幅が広がる感覚が良いです。

私が求めるのは、スピード感か規模感か、研究か開発か?

入社して最初に思ったことは
「細かいことをフットワーク軽く検証できるスピード感は大学の方が上だな」でした。
企業ではコンプライアンス違反を起こさないよう多くのチェック機構や委員会があり、
一つ一つの実験を行うためにはこれらをクリアしなければなりません。
試薬も動物も来るのが遅い。とにかく遅い。

一方、会社が「これをやろう!」と判断してからのスピード感・規模感はすごくて、
ときには規模の大きな予算とヒトの両方が一挙に手に入ることもあります。

開発寄りの研究プロジェクトでは特にこの影響を強く受けます。
もうちょっとでいいから、ヒトをこっちに回して欲しい。

それと上述と併せて感じたことは、臨床入りに近いプロジェクトでは時に自由度が落ちること。
そのような創薬プロジェクトの中では、多くの検証項目に対してそれぞれ締切が設定され、
脇道にそれる研究をやるより、1日でも早く患者さんへ届けることを優先します。

これ自体はもちろん大切なことなのですが、基礎研究とは雰囲気がかなり違うので、
どっちの仕事をやっているときに心躍るのかも人によって大きく異なります。

企業には色んなタイプの人が居て、私は基礎研究が合っていることを自覚しました。
患者さんと近いところで研究がしたい人は
、むしろ開発よりかもしれません。
(両立できないことはないですが。)

そんな中でも、臨床試験や上市後を意識した研究プロジェクトのプランニング・ロジック構築学びが多く、これは後期ステージのプロジェクトをさせてもらったからこその経験でした。博士課程でコツコツ勉強していた論理的思考力のようなものがその中で役に立ったの意外でした。

ちなみにモドカシイことに、自分の居場所を自分で決められないことが多いです。
いわゆる「上司ガチャ」「グループガチャ」要素はどの会社さんもあって、
自分のキャリアで大切にしたいポイントの実現と合わない時はなかなかしんどいです。
(ガラッと環境を変えたいときのコツなどはまた別の機会に。)

専門性を磨くこと、業績を積むことへのハードル

新しい分野について勉強する機会は多くある一方で、
専門性を磨くという観点が、なかなか難しいなと感じる今日この頃です。

早いときには半年でグループが変わったり、
担当する創薬プロジェクトもコロコロ変わるので、一から勉強ということも多いです。
分野が変わっても自分が発揮できる「何か」が明確な人がすごく羨ましい。

専門性の話と合わせて、大学と異なる企業へのもどかしさの一つは、
業績が個人に紐づくことが少ないことです。

特許や論文という形で自分自身の成果を自由に発表することはできない。
他の場所へ移って研究したいなと思ってもこれが無いのは結構しんどい。

そんな背景もあり、落ち着いて数年間海外にでも出かけたい欲も高まって来ています。
企業にいても大学にいてもどの分野でもそうだと思いますが、
学び直しの機会は人生において複数回設定していくのはすごく大切だと考えています。

いくら自分の明確な尖った部分があっても、5年も経つと丸くなっちゃいます。

この辺で、まとめ

無目的にバラバラ書いてきましたが、この数年間にはすごく満足しています。
ある程度の成長は感じることができましたし、自分の好きを見直すことも、
そして環境の良さ・悪さも少しずつ見えてきた気がします。

書けていないこともたくさんありますが、それらも含めて、
これからの道について自分で納得しながら進んでいきたいと思います。
これからのテーマは「科学を楽しむ人生」「豊かな人生」です。
豊かって何だろう。科学ってなんだろう。

また節目節目で、振り返ったり皆さんと話をしたりできたら嬉しいです。
Twitterも更新してますので、ぜひフォローしてみてください。ではでは。

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