私はもともと、アカデミアでの研究を第一志望として博士課程に進みました。
博士に進学後、様々な経験を経て、最終的には、製薬企業の研究職を選ぶこととなりました。
私自身の悩んだ経験が、キャリアパスを悩んでいる学部生〜博士の方々の参考になるのでは、
と思い、今回その体験をそのまま記事にしました。
博士号取得後の道をお悩みの方、博士に進むか悩む学部生・修士学生の皆様、
ぜひご自身の今後を検討する材料として、お使い下さい。
人生の節目のタイミングで、「今の自分が感じていることをしっかり言語化する」と、
ほんの少しだけその先の選択肢が見えてくる、そんなメッセージになれば幸いです。
博士課程まで進むことは、学部生の頃に決めた
学部の頃、私はとにかく生物学・生命科学の素晴らしさに魅了され、勉学に没頭した毎日でした。
幸い、大学3年から本格化した研究活動は私の性格
(ストレスがあまり溜まらない、好きなことなら無我夢中で突っ走る、等)ともマッチしており、
研究活動という仕事で飯が食えるなら、こんなに幸せなことはない、そう明確に感じた4年間でした。
とは言え、不安もたくさんありました。
「私のような実力の学生が、本当にやっていけるのだろうか?」
自問する日々が大学3−4年では続きました。
そして私の当時の結論は、
自分の素質を見極めるため、まとまった時間(5年間)を本気で研究に捧げてみよう。
つまり博士課程の期間は、私の中で「お試し期間」でした。
研究を通じて、自分自身の能力や得意・不得意を知ろう。という位置づけです。
もしダメであっても、博士に入った=就職できない、という訳でもない、
色んなキャリアパスが残っている、という書籍の後押しもあり、
また、学部の頃の恩師の後押しもあり、数ヶ月悩んだ末に決意しました。
博士号の使い方
博士号のとり方[第6版]―学生と指導教員のための実践ハンドブック―
修士の間はとにかく研究に没頭
一度博士進学を決めてしまえば、修士学生はひたすら走る期間でした。
何せ、論文が出ていないと話になりませんから。朝から夜中まで、土日も含めて研究に没頭しました。
「自分で研究を考える→実施し解釈する→新たな実験を考案する」
この流れを自分で回し、最終的なゴールを達成し、報告する。研究費を獲得する。
上記を一人で行えることが研究者としての大前提と解釈した私は、その意識で日々励みました。
研究の実施や立案はもちろん、学会発表等の機会も積極的に取り入れました。
論文投稿の達成が一つの転機
博士学生となり、なんとか無事に論文がアクセプトとなりました。
ここで感じた以下の気持ちが、その後のキャリアに大きな影響を及ぼします。
「果たして、このまま論文を書き続けることが私の最適な仕事なのだろうか…?」
アカデミアへの志一つで走ってきましたが、このタイミングで心境の変化が生じました。
キャリアパスの再考
改めて、キャリアの選択を考えることとします。
振り返ると、私が大切にしたいことは、以下の2つでした。
まずは研究という行いが好きだということ。
私自身の能力や性格とマッチしていることは、この5年間を含めても明確でした。
仮説を立てて検証し、特に結果を考察するときは本当に楽しい。
そしてそれを公表することは本当に嬉しいものでした。
自分の論文が引用された時に、そう感じました。
そしてもう一つは、もう少し「現場に近い」研究がしたい、ということ。
上記の理由から、以下が第一選択候補となりました。
・このままポスドク・助教への道(応用に近い基礎研究へ移りたい)
・あるいは専門性の高い分野の民間企業研究職(=医療用医薬品の製薬企業等)
*様々な業界の中から、製薬企業を選んだ理由は下記記事で紹介しています
片方を満たす選択肢として、下記も挙げましたが、まずは上記を志しました
・教育機関、専門分野の出版会社、弁理士
・少し専門性は低いが、研究を行える民間企業
なぜアカデミアではなく、企業を選んだのか
ここが最も根幹ですね。決め手は、以下の2つです。
・アカデミアでの研究が「自由であって自由ではない」
・困っている人に貢献する最前線で研究がしたい
前者について、5年間の間に感じることがチョコチョコありました。
アカデミアの最も長所であって欲しいはずの「自由な研究」が、
ポストの任期の関係、短期間の業績を求める研究費のシステム、
研究室内での微妙な人間関係、様々な要因で歪められているケースを散見しました。
本当に「自由」なら、患者さんに貢献する研究だって出来るはずですが、
実際にはそう簡単ではないことが明白でした。
もちろん、本当に楽しそうに研究をしている先生方もいらっしゃいます。
そのような先生を見ると、素直にアカデミアも憧れます。
ですが運の要素もあり、自分がやりたいことだけをやれるのがアカデミア、
ということも一概に言えないリアルを見てきました。
もう一つ背中を押したのが、患者さんに貢献することへのモチベーションの向上です。
この強い想いを共有できるメンバーとチームとなって仕事がしてみたい。
自分の技である研究で、困っている人に届く仕事がしたい。
この想いがどう振り返っても、強くなるばかりでした。
博士2年の秋からは就職活動を第一に行動
ポスドクを経てから製薬企業へアプライするか、ココも悩みましたが、
偶然にもこのタイミングで業績や環境が整っており、
今の採用がチャンスだと決意しました。
夏のインターン開始(6月)から情報を集め、冬には本選考が開始。
早めから準備したことも実り、無事に内々定となりました。
その過程やノウハウについては、
当ブログの記事にて紹介していますので、ぜひ色々と見てみて下さい!
以上です!
博士課程の終わりのタイミングということもあり、自分自身を振り返ってみました。
博士の就活は年々早期化しているため、
動き出しの時期は弊ブログの最新記事などを参考にしてください。
今迷っている方の少しでも参考になればと願っています。
ご質問・ご相談、いつでも受け付けておりますので、ぜひお気軽にXなどでお声掛けください。
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